超音波洗浄の原理

超音波洗浄の原理

超音波洗浄は ”3つ” の相互作用

超音波洗浄は主に 1)キャビテーション 2)加速度 3)物理化学的反応促進作用の3つの相互によるものとされています。
超音波洗浄の3要素

この3つの作用は「作動周波数」により、効果に違いが出ます。たとえば、周波数が低いほどキャビテーションが発生しやすくなり、周波数が高くなるに従い加速度は大きくなります。これらの効果の違いから、洗浄物個々の状態に合わせた超音波洗浄機を選ぶことになります。

キャビテーション(cavitation)とは

超音波洗浄のメカニズムでは、上記の3要素の中でも「キャビテーション」が最も重要な役割を果たしていると言ってもよいでしょう。キャビテーションとは、液体の流れの中で圧力差により短時間に泡の発生と消滅が起きる物理現象のことです。気圧が下がると沸点が下がるので(ボイル・シャルルの法則)、液中の気圧が「飽和蒸気圧」以下になると、液体が水の場合は水蒸気(H2O)による泡が発生します。この泡は負圧でできたわけですから、当然、圧力の高いところで消滅しますが、その際に“大きな衝撃”が発生するのです。この衝撃を洗浄に活用したのが「超音波洗浄機」です。
キャビテーションのメカニズム
一説によるとキャビテーションは、19世紀末に高速船用のプロペラが予想された性能を発揮しなかったことから発見されたと言われていますが、場合によっては金属製の羽が破損してしまうほど、気泡が消滅する際には想像以上に大きな力が働きます。
超音波洗浄では、超音波の作用で短時間のうちに液中に圧力変化を起こし、この衝撃をもって汚れを落とします。液中には超音波の作用により真空の泡が発生し、それが押しつぶされたときに起こる“強力な衝撃波”で汚れを直接破壊するのです。このキャビテーションの効果は、周波数が低いほど強くなり、周波数が高くなるほど弱くなります。

超音波の波長と洗浄効果

上記の実験からも、超音波洗浄の効果と周波数には密接な関係があることがわかりますが、超音波洗浄機の発振周波数が変わると、液中に放射される音波の波長(長さ)が変わります。波長は液中の音速で変わりますが、 下図のように周波数が低いほど波長は長く、周波数が高くなるほど波長は短くなります。波長が変わるとキャビテーションの発生状況や 加速度などが変わり、洗浄効果に違いが出てきます。
 
周波数と波長
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